ヒラタキクイムシが好物な材とは
春から夏にかけて合板やフローリングの表面に木材の粉が現れ、1~2mm程の穴が開いた経験のある方がいるかもしれません。
これは蛹(さなぎ)から成虫になったヒラタキクイムシが外に出てくるための穴なのです。
どんな木材でも存在して食べる訳でもなく、幼虫のエサとなるのは木材に含まれているデンプン質があり、成虫が産卵するのに適した導管のある木材を好みます。
デンプン質は、辺材(樹木の樹皮に近い部分)にあり、心材にはありません。
木造住宅の柱や梁に使用される杉(スギ)・桧(ヒノキ)などの針葉樹は、卵を産みつける導管がないために食害されません。
食害を受けやすい材は、ラワンに代表される南方産広葉樹、国産の楢(ナラ)、欅(ケヤキ)、タモなどの辺材が食害を受けます。
デンプン質は時間と共に変質するため古い木材は食害されにくくなります。新築してから2年までの被害発生が全体の80~85%という報告もあります。
無垢フローリングを購入される方に注意!
最近ではネット上で直接購入するケースが増えてきました。
中間マージンをカットして安く購入できるというメリットがあります。
しかしながら、ただ「安い」というだけで購入を考えると上に書いたように虫害に侵されるケースがありますので注意が必要です。
詳しいことは、購入されるお店で相談しながらグレードと予算の折り合いを見つけていくのが良いかと思います。
これから末永く住み続けていくために必要な選択です。
ヒラタキクイムシの被害に遭った場合の対処法
被害の範囲が小さい場合
ヒラタキクイムシの被害(フローリング表面に小さな穴が開いたり、木粉が一箇所にまとまってある場合)が発生したら、被害の拡大を抑えるために早期の駆除を行うことが重要です。
応急処置として、虫穴に殺虫剤を専用ノズルで注入する方式が一般的です。
できるだけすべての虫穴に充分に殺虫剤の注入を行ってください。
また周辺の隙間部(部材の接合部、幅木の下側、非塗装部)にも殺虫剤を噴霧してください。
同様の処置を時間を置いて複数回行うとより効果的です。
殺虫剤は、薬局やホームセンター等で販売されています。
エアゾール式、水性塗布式の商品をお勧めします。
殺虫剤噴霧時は、部屋の窓等を開放して十分な換気をしてください。
噴霧後もしばらくの間換気を行ってください。
使用前には必ず製品に記載されている取り扱い説明書をよく読んでからご使用ください。
被害の範囲が大きい場合
被害が大きい場合やヒラタキクイムシ以外の虫害は専門処理業者に相談することが一番です。
お近くの業者が分からない場合はご紹介いたします。
大阪近辺の方のみ
処置効果の確認期間
薬剤注入後、1年程度様子をみてください。
ヒラタキクイムシの生態は、卵→幼虫→サナギ→成虫の一世代一年です。
つまり、卵や幼虫を含めた駆除の確認には、一年程度の期間が必要となります。
一年間の観察期間中に新たに虫穴や木粉の発生、成虫の飛び出しの有無を確認してください。
万が一、新たに虫穴や木粉の発生、成虫の飛び出しが認められた場合、同様の処置をするか、専門業者による本格的処置を行ってください。